長野県某司法書士のブログ

某司法書士の経験した仕事上のお話です。

知的障害者の方の遺産分割

はじめまして。


仕事上経験したことの、備忘録、悩み、愚痴を書いて行きます。


さて、早速ですが、お話していきます。


三年程前のお話。

不動産の相続の登記のご依頼がありました。


被相続人X。

不動産が1つ、相続人は三人(A、B、C)。

不動産取得者は、AとB。遺産分割協議書は既に作成された状態で、当事務所に依頼がありました。


少し話が脱線します。


司法書士には業務上の依頼人に対して本人確認、意思確認の義務があります。

司法書士法、各会の規則等に書いてあります。


この本人確認、意思確認の規定、

仕事をしていていつも思うんですが、

確認の方法の規定が曖昧なんです。


基本は、依頼人に直接会って、身分証明書を提示してもらい、本人確認、意思確認する。と書いてあります。


ただ、会うというのは、原則で、

司法書士が相当と認める方法での本人確認、意思確認という方法も規定されています。


相当と認める方法が、いつも悩ましい。


少しぶっちゃけますが、

全ての依頼人に必ず会う!

という司法書士はそんなに多くはないかと思います。

大体は案件の重さによって、確認方法を変えています。(電話や、転送不要書留郵便など)


とはいえ、どれの案件が重くて、軽いなんて、線引きは難しい。

一生悩むんでしょうね。


話を戻します。


今回の依頼人への本人確認、意思確認についてです。

相続人ABCの内、司法書士法に規定のある本人確認等の対象は、AとBのみ。Cは司法書士法上は確認対象ではないです。

ただ、よく考えるとCは、唯一相続財産を貰えない人なので、むしろ確認をとるべきだ!

と考える同業の方は多いはず。


わたしもそうです。

場合によっては、依頼人ではないCも直接会って確認します。


今回は遺産分割協議書も既にありましたので、とりあえず、Cには電話して確認をとるとこにしました。(お話しして当初聞いていた話と異なるとことかあれば、また考えます。)


で、電話したんですね。


表題でお分かりかと思いますが、

知的障害をお持ちの方でした。

正直、会話としては成立しませんでした。


後日Cのご家族であるABにお話をお聞きしました。

「Cは協議の内容は理解している」

「会話が苦手なだけ」

とのお話でした。


司法書士なら少なからず直面する問題です。


詳しい説明は割愛しますが、

物事を正常に認識することのでない方の

行為は原則無効です。


つまり、遺産分割協議書が適法に作成されていても、その協議は無効である可能性があります。


さて、どうしましょう。


続きます。